top of page
検索

ワーキングライフバランスとセルフケアの重要性 "Selfcare is not selfish"

濱嶋夕子, RN, MSN, AGNP-C, AOCNP

アメリカのテキサス州オースティンでオンコロジーNPとして働いている濱嶋と申します。私は2014年8月にアメリカへ大学院留学のために渡り、今では10年目を迎えることになります。大学院を卒業した後、アメリカでの看護師としてもNPとしても経験がない新卒者の英語が不得手な私をスタンフォードがんセンターが雇ってくれました。スタンフォードがんセンターでの経験は貴重で、NPとしての夢を追い求める中での第一歩でした。しかし、その後も度々バーンアウトの危機に見舞われ、その都度感じるのはセルフケアの大切さでした。昨年参加したcompassion fatigue(同情疲労)とバーンアウトに関するセミナーで、緩和ケアの医師Justin Baker, MDが繰り返し強調した”Selfcare is not selfish”は、今では私の人生の中でのモットーとなっています。


出産を経て崩れた私のワークライフバランス

2020年のコロナ禍に高齢での出産、夫の仕事の都合でのテキサスへの引っ越し、そして産後4ヶ月目にリモートでカリフォルニアの職場に復帰し、育児と仕事をワンオペでこなす大変さに直面しました。

産休に入る前も基本ほぼリモートで働いており、ビデオ電話で診察をしたり、点滴室の看護師からの血液検査の異常値、読影の医師からの異常所見などの呼び出し、チームの看護師からの症状のある患者対応の相談、保険会社から許可が出なかった検査や薬を許可をもらう電話対応など、業務内容はそのままでした。しかし、時差やデイケアの送迎、患者の対応など、時間の調整が難しくなり、結局リモートの仕事を辞め、テキサスのオースティンにあるAssensionというメディカルグループのオンコロジークリニックの点滴室に転職しました。

転職先のクリニックは医療保険を持っていない患者が多く、英語が話せない人が65%以上。人手不足で常にカオスな状態でした。その点滴室で働く初めてのNPとして、まずは自らの役割を確立する必要がありました。今まで診ていた消化器がんだけでなく、全てのがん疾患に対応する必要があり、初年度のストレスは非常に高かったです。慣れない疾患などのマネジメントの勉強をしたいことは山ほどありましたが、仕事の後に勉強する時間があまり取れませんでした。仕事も100%できておらず、同時に育児や家事も中途半端でもどかしい日々でした。特に泣き喚く子供をデイケアに送り届けるたびに、自分の働く意味を疑問に思ったりもしていました。


セルフケアの達人である夫から学ぶ "set the boundary"


”Set the boundary”(境界線を定める:個人が自分の時間やエネルギーに対して他者との適切なバランスを取るために、自己の制約やルールを設けることを指す)と様々な人からアメリカで働き始めてから今まで良く言われてきました。典型的な日本人の自分は自己犠牲になりがちな悪い癖があり、仕事でも家庭でもタスクを引き受けてしまい、自分の時間や欲求が常に後回しにされていました。子供を持つ前は時間的な余裕があったこともあり、ストレスが多少溜まることはあっても時間が足りないと感じることはありませんでした。産休後、私は仕事や家事、育児に奔走し、自分の時間を確保できず悶々とする中で、自分を優先する重要性がどれほど大切かを痛感しました。特にうちの夫を観察していると、子供が泣いたり遊びたがったりする中であっても、自分が寝たいときは寝、仕事があれば仕事を優先させる姿勢が一貫していました。息抜きの時間もきちんと見つけて、隙間時間をNetflixなどでテレビ鑑賞に使い、自分の欲求を削ることなく大切にしています。夫の名誉のために言っておくと、夫は仕事のために通常よりも睡眠時間を削っていましたが、それでもセルフケアを怠りませんでした。


Selfcare is not Selfish ! 


子供が一歳半を過ぎた頃、私は3連休を利用して一人旅をしました。子供を置いていく罪悪感もありましたが、友人を訪ね、ワイナリー巡り、美味しい食事とワインを楽しみ、プールでくつろぎ、夜中までトランプで大富豪をして遊んだり、仕事に関して様々なことを語り合ったり自分の時間を満喫しました。セルフケアは自分の人生と向き合うために再充電するものであり、単なる休息だけではないということをNew York Times の記事Dr. McGonigalが述べていたのですが。私もこの時の経験から、セルフケアは単に休息をとるだけでなく、自分に優先順位を設定し、境界線を定め、ポジティブな感情を育み、人生で重要なことに集中するためのエネルギーを充填することだと実感しました。 

最近の私のセルフケアは、通勤時間や隙間時間を活用してAudibleで本を聞いたり、podcastで公私に関する新しいトピックについて学んだり、朝はエスプレッソマシーンでコーヒーを入れたり、週末には抹茶を立てる時間を持ち考え事をする時間を持つことです。自分のために集中するわずかな時間を持つことで、仕事や家事にもゆとりが持てるようになりました。セルフケアは自己中心的なものではなく、むしろ人生を豊かにするための鍵のように。これからもうまくセルフケアをしつつ、仕事で患者と向き合う、家族と向き合う、そして自分自身と向き合う時間を大切にしていきたいと思っています。


あなたのセルフケアは何ですか?

 

いかがでしたか?来月はカリフォルニア州でNPをされている森本あずささんです。お楽しみに!

閲覧数:79回1件のコメント

最新記事

すべて表示

1 kommentar


私のセルフケアはスキーと旅行の計画を立てること(行くことももちろん好きですが、それ以上に好きなのが計画の方)。あとは美味しい料理を作って食べること!


私も高齢出産で読んでいて昔のことを思い出しました。永遠で長いトンネルみたいに思えていた子育ても終了間近になり(いや、もう終わったのかも)、振り向けばあっという間だった、と思う今日この頃。自分が幸せでなければ誰も幸せにできない、がモットーなので夕子さんのような悩みはなかったかも。典型的な日本人母に比べればなんて自分勝手!と自分を思う時もありましたが夕子さんのブログを読んでさらに、自分は間違っていない!と確信が持てました。ありがとう😊


Gilla
bottom of page