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全ては、今の自己形成に必要な経験

更新日:5月12日





奥 朋子 RN, PHN, MW, MSN, OCNS, Master of Food and Nutritional Sciences


千葉市花見川区で、2018年3月に「訪問看護ステーションフレンド」を開業した、がん看護専門看護師の奥 朋子と申します。この度コラムの執筆にあたり、少々個性的な私の看護職としてのキャリアを、ここに紹介させていただきたいと思います。


就職からわずか2年、看護から逃避

私は大学時代、初めて見学したお産に感動したことがきっかけで助産師を目指し、卒業後は出身大学の附属病院の産婦人科病棟に助産師として配属されました。私は小さいころから思考も行動も遅く、一つのことを覚えるのに他の人の何倍も時間がかかり、就職した同期の助産師4人の中で、最も先輩の手を煩わせた「ポンコツ新人」でした。当時の私は日々の業務をこなすことに精いっぱいで、仕事に少しも面白さを感じることができず、就職して2年後に、とうとう看護から逃げ出すべく「大学院への進学」を口実に病院を退職しました。





離れて初めてわかった、自分の看護への関心

看護から逃れて進学した大学院の専攻は、食品栄養科学。私は微生物学研究室に所属し、細胞の分化誘導に関する研究に取り組みました。研究室では定期的にゼミが開かれますが、私はゼミで他の学生のプレゼンを聴くたび違和感を覚えていました。学生たちの研究テーマは、人の健康や、病気の治療薬の開発に将来つながるかもしれない基礎研究なのですが、ゼミで学生が最も関心を持つ話題は、「何をしたら実験が成功するか」つまり、実験材料や道具、実験条件に関することばかりだったのです。主に実験動物やモデル細胞を主に材料として用いているから仕方ないのかもしれませんが、学生たちには今病気で苦しんでいる人たちの顔や姿、生活に全く想像が及ばないのだと思いました。私は、彼らが、実際の患者さんの状態について想像力を膨らますことができれば、もっと一生懸命研究に取り組む動機につながり、よりよい研究成果を出すことができるのではないかと思い、「研究に関連した疾患を抱える患者さんはこんな症状で、生活の中でこんな風に不便で、こんな苦労をしているのです」と、ことあるごとに「患者さん」について知ってもらおうと熱弁をふるうようになっていたのでした。






看護から逃げ出したはずの私でしたが、こうして患者さんのことを知ってもらおうと必死になっている自分に気が付き、私は病気に関する基礎研究の研究者よりも、現場で患者さんと関わるほうが性に合っているのだと思い、大学院修了後は、再び元の病院に就職することにしました。





思いがけず配属された外科病棟で出会ったがん看護、リンパ浮腫ケア

再就職では再び助産師として産婦人科病棟への配属を希望したのですが、配属されたのは、全く希望していなかった外科(心臓血管外科、食道胃腸外科、肝胆膵外科、乳腺・甲状腺外科の混合)病棟でした。希望の病棟に配属されず最初は不本意でしたが、これも何かのご縁、勉強の機会と思い直し、何とか現場に適応するべく努力するうちに、いつしか助産師としての仕事より、がん患者さんの看護に面白さを感じ、興味を持ち始めました。中でも私が最も興味を持ったのが乳がん患者さんでした。

ある時、一緒に働いていた乳腺外科の医師から、「勉強になるから参加するように」と乳がん患者さんのセルフヘルプグループを紹介されました。グループの定例会に参加してみると、そこではもっぱら「術後の腕のむくみ」の悩みが話題の中心となっていました。しかし、どうして乳がんの術後リンパ浮腫の症状が出るのか、どうやって治したらよいのか、当時の私には、答えが全く分からず、患者さんに一言もアドバイスすることができず、とても不甲斐ない思いをしたのを覚えています。今から30年ほど前の話です。

当時は、リンパ浮腫の教科書もほとんどない時代でしたが、その後、定例会でリンパ浮腫の勉強会を開けるようにと、「リンパ」「リンパ浮腫」に関する数少ない書籍や記事を集め、私はグループの主催メンバーと一緒に勉強を始めました。

こうして四苦八苦しながら患者さんと一緒に学び始めたリンパ浮腫についての勉強をきっかけに、その後私はリンパ浮腫のセラピストの資格を取得し、がん看護専門看護師となった私のサブスペシャリティとして、今もそのスキルを磨き続けています。そして現在は、厚労省後援のリンパ浮腫研修運営委員としてのお仕事もさせていただくようになりました。





振り返ってみると、最初に就職した後、私が看護から逃げ出していなければ、再就職して外科病棟に配属されることも、がん看護専門看護師になってサブスペシャリティとしてリンパ浮腫ケアのスキルを磨き続け、そのスキルを認められることにもつながっていませんでした。途中で仕事が嫌になり辞めた経験も、今となっては、私にとっての現在のキャリア形成には不可欠な、大切な経験だったと思えます。







現在私は、がん看護専門看護師としてのスキルを活かし、「がん看護に強い訪問看護ステーション」の経営者として、看護管理者として業務をこなしていますが、忙しい仕事に追われながらも元気に過ごせる秘訣は、趣味の吹奏楽です。高校時代から吹いているコルネットは、私の40年来のパートナーであり、週1回の練習に参加し、様々な職業の人からなる楽団のメンバーと交流することが、私にとって一番のリフレッシュになっています。






 

いかがでしたか?次回はカリフォルニア州でNPをされている石井素子さんです。お楽しみに!

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