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Mental Health for All

更新日:8月28日

森内加奈恵

精神看護専門看護師


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森内加奈恵の歩みと精神看護への情熱


みなさん、はじめまして。私は精神看護専門看護師の森内加奈恵と申します。2025年3月に退職するまで、千葉大学医学部附属病院の精神科で病棟、外来、訪問看護を約18年続けてきました。退職のタイミングで、コラム執筆のお話をいただき、これまでの歩みを振り返る機会を持つことができ、感謝しております。


看護師になるまでの経歴


私の看護キャリアは、少し特殊です。看護師になる前に刑務官として勤務していました。子供の頃から、なぜ人種差別があるのか、犯罪や戦争が起きるのか、疑問に思っていました。また、犯罪心理にも興味があり、刑務官がその近い職業だと思ったのです。


しかし、実際には犯罪心理に触れる機会は少なく、主に看護師としての業務に従事していました。刑務官には夜勤があり、女性収容者の約半数が覚醒剤取締法違反でした。夜間、幻覚に悩まされている人や異常行動をする人を目にしました。特に、薬を飲ませて静かになる一方で、副作用に苦しむ人たちの姿に、疑問を感じるようになりました。


この経験から、精神症状や薬についてもっと知りたいと考え、精神科看護師を目指すことにしました。医療刑務所の准看護師養成所に入所を希望しましたが、職場に人員補充がなければ入所は叶いませんでした。精神疾患への興味は増す一方であり、外部の看護学校に入る決断をしました。


実習と転機


看護学校での実習では、精神科実習に参加しましたが、現実とのギャップに驚きました。患者に薬を飲ませたり、お小遣いを渡したりする看護師の姿に違和感を覚えました。当初は精神科看護に魅力を感じませんでしたが、その後、さまざまな経験を経て、2007年に精神科看護師として大学病院に入職しました。心の中の疑問が解消され、初心に帰る気持ちを持つことができました。


精神科看護師としての活動


大学病院の精神科では、児童から老年期までの重度難治性精神疾患の治療を行っています。入院患者の50%以上は治療抵抗性の双極症で、再入院も頻繁です。薬物療法だけでは十分ではなく、心理社会的治療が必要だと痛感しました。


そこで、集団認知行動療法を取り入れた「心理的リハビリテーションプログラム(以下、心リハ)」を実施しました。このプログラムは、患者の自己理解を深め、新しい考え方を一緒に探す方法を含んでいます。また、睡眠、リラクゼーション法、双極症の心理教育も加えました。


プログラムの成果


心リハを通じて、患者との信頼関係を築くことができ、外来や訪問看護でもその成果が現れました。しかし、病棟内でのプログラム実施後の継続が難しく、再発予防への取り組みを他部署と連携しました。


精神看護専門看護師として認定された後は、院内で看護職員のメンタルヘルスに関わる機会が増えました。ストレスの多い環境で働く看護師たちの支援が必要不可欠だったからです。私たちのチームは、ワーク・エンゲイジメントを高める方法について分析し、提言をしました。


院外活動と偏見の解消に向けて


私自身、重度精神疾患の方々と関わる中で「精神疾患への偏見」を強く感じてきました。そこで、看護学部生や一般市民に対して、精神疾患の理解を深めるための講義を行うことにしました。また、看護倫理についてのワークショップも開催しています。


特定非営利活動法人途上国の精神保健を支えるネットワーク(Suppoters for Mental Health; SUMH)とも連携し、カンボジアの精神保健支援に参加しています。発展途上国では精神保健に関するサポートが遅れており、何かできることはないかと考えています。


現在の語学留学


現在、私はフィリピンのセブ島で医学英語と日常会話を学んでいます。カンボジアでの活動を通じて得た経験と、SDGsのプログラムを受講しながら、毎日刺激を受けています。今後も精神疾患への理解を広めるため、教育活動に力を入れたいと考えています。


未来への視点


精神疾患に関する偏見は、他の職種に比べて精神科看護師が一番高いと言われています。しかし、精神疾患についての十分な知識があれば、偏見は低くなるとされています。教育や対話を通じて、看護師や市民の偏見を無くしていくことが私の目標です。


このような私の活動に興味を持っていただけたら、ぜひ一緒に考えていきましょう。すべての人に心の健康を!


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森内加奈恵の活動を通じて、精神疾患に関する理解を深めていくことはとても重要です。精神看護専門看護師として今後も積極的に取り組み、より良い環境を作り出すために努力していきます。

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